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人生はRPGだ。

漫画とゲームとアニメなどの雑記ブログ

漫画「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」を読んでみた。

漫画アニメ

pixivで話題の実録マンガ感想レビュー

漫画「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」を読みました。
作者は永田カビさん。

10年前から始まった心の不安定さ、摂食障害、脱毛症…。
その苦しみに向き合い、乗り越えはじめるまでの軌跡を描いたレポート漫画です。

1巻完結で5章編成。
自分の居場所を探して「レズ風俗」というサービスを利用するに至った、作者の心の変遷とは?

1章、はじまり

作者・カビさんが深い闇にどんどん引きずり込まれていく様と、そこから起死回生を決意するまでの過程が描かれています。
学校を卒業してから「居場所」を失い、大学や就職先で上手くやれずに心身に不調をきたしはじめるカビさん。
拒食や過食を経て肌はボロボロ、頭にハゲも出来てしまいます。
そしてついに死を考えるようになる。
しかしそこで「最後のあがき」をしたいという想いに火がつきます。

この「居場所がないという」感覚、一度は体験したことがある人も多いのではないでしょうか。
お金はあるのに行く場所が思いつかない、という部分には私も共感しました。
居場所というのはただイスと机があればいいというものではありません。
そこに心が通じる何かがないとダメなんですよね。

2章、前日譚

カビさんが自己否定に陥っていく過程と、マンガを描くようになった経緯が詳しく描かれています。
親に否定され、親の承認を得るために無意識に「他人軸」で生きるカビさん。
自分が本当は何がしたいのか分からなくなり、職場を転々とする日々。
そんななか「マンガを描きたい」という自分の本心に立ち戻ります。
しかし他人軸で生きるクセがついているため、親の承認が得られず居場所が掴めません。
「自分で自分を大切にしたい」と強く願ったすえ、これまで過剰に拒否していた「性的なことへの関心」に気づきます。

自分の気持ちがわからない、というのは私にも覚えがあります。
ついつい他人に合わせようとしてしまう「他人軸」の人が陥りやすい状態ですね。
「あなたはあなたのままでいいよ」と言ってもらえなかった子供は、他人軸な大人になりやすいのでしょう。
ちょうど親世代と子世代で、世の中の価値観も大きな変わり目を迎えている昨今では起きやすいトラブルかもしれません。
サラリーマンの終身雇用が当たり前だった世代とは、価値観にズレがあるのは当たり前ですよね。

3章、予約まで

自分の「性的なことへの関心」に気づいたカビさんは、レズ風俗というサービスの存在を知る。
これまで性的なことを拒否していた自分が、女性同士とはいえ風俗に行くのかと思い悩みます。
それでも意を決して、ついにお店を予約。
うしろめたさと未知への期待で、頭がいっぱいになります。

性的な関心のウラには、誰かに抱きしめられたいという欲求があったそうです。
私はスキンシップが苦手なので、このあたりは共感できませんが、スキンシップが苦手ということはそのまま人間が苦手といえるかもしれません。

4章、当日編

ついにレズ風俗の利用当日。
お姉さんと手をつないでホテルに行くまでと、ホテルであれこれする描写が詳しく描かれます。
優しいお姉さんがいろいろと気遣いをしてくれるのに、思考が邪魔をして緊張が解けないカビさん。
最後まで心を開けずに、初体験は終わってしまいます。

この章はレポ漫画として最も重要ですね。
レズ風俗というサービスが一体どういったものなのかが描かれていて面白かったです。

5章、後日譚

セックスはコミュニケーションだということを学んだカビさん。
この経験を自分の創作に活かせるのではないかと考えます。
そしてこの「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」を思いつく。
それはお姉さんに対してできなかった、自分の心を開くということ。
自分の心の声を聴き、本当の望みを探り当てる。
「自分がやりたいことをやる」という境地に、ついに辿り着きます。

自分がやりたいことをやるというのは、出来る人にとってはごく当たり前のこと。
けれど日本のような建前を大切にする文化では、自由に振る舞えない人も多いと思います。
その結果、自分のやりたいことすら分からなくなっている人もいるでしょう。
やりたいことをやって、否定されたり失敗するリスクはもちろんあります。
それも含めて覚悟を決めなければ、やりたいことなんかできませんよね。
「覚悟もないしリスクも取りたくない」という気持ちと癒着しやすいのかもしれません。
原因の大半は、教育による刷り込みでしょうけどね。

おまけ

pixivで「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」が話題となり、書籍化が決定したカビさん。
おまけでは後日ふたたび、レズ風俗を利用したレポが描かれています。
まだまだ上手くコミュニケーションは取れないようですけど。
それでも人として漫画化として、大きな大きな一歩を踏み出したことには違いありません。

個人的には共感できる部分も多く、興味深く読める漫画でした。
pixivでも初期に公開されたバージョンを読むことができますけど、書籍版は大幅に加筆されています。
興味のある人は書籍版の購入をオススメします!